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【同人誌】夜斗大変身!

そうさく畑により配布から一部抜粋します。


夜斗大変身! 鱗火と美月と世月と

 ふうと息をついて額の汗を手の甲でぬぐった。助手である夜斗は美月宛てに届いた荷物を運んでいたのだ。
 まだ暑い時期ではないけど、重い荷物を運んで何度も往復すると汗はかいてくる。特に今日は暑いようで、いつものように着込んでいたら汗をかいてしまった。
 のどの渇きを覚え、冷蔵庫へと近寄った。
 何かないかと覗くと炭酸飲料の入ったペットボトルが目に入る。
 ラベルに何か書いてあるが、鱗火か世月の名前が書いてあるだけだろうと手にしてキャップを開け口に含むと少年は液体を口に含んだ。
 思ったほど炭酸は弱いがそれでも冷たさはのどを潤していく。
「はぁぁーっっ。」
 茶色の耳とふさふさとしたしっぽが揺れた。
 気持ちよく息を吐いて残った炭酸のキャップを閉めると冷蔵庫へと戻した。
 ところがご飯後でもなく、疲れたわけでもないのに、あくびが出る。
 鱗火と世月はいつものごとく遊んでいるし、美月は会議らしい。
 一人の夜斗は背伸びをした。そしてソファへと座る。
 それが気を許してしまったのか気持ちよくていけないとと思いながらも目を閉じた。

「と…夜斗っっ。」
 名前が呼ばれ、体が揺さぶられる。
 すごく気持ちいいのに生返事をして頭を動かした。
 だが次の瞬間思い出して目をぱちっと開ける。
「わー、僕寝てました!?」
 背筋を伸ばす。壁にかかっている時計を見る3時過ぎ。
 30分程度とはいえ、眠ってしまったことに罪悪感を感じるが、おやつの時間に戻ってきた世月に起こされてほっとする。
 これが夕方だとなってしまったら、美月に頼まれた仕事が何も進んでいないことになる。
「やっぱ夜斗だね。」
「そうだね。」
 不自然な会話に夜斗が首をかしげた。
 ビスケット色の髪とアーモンドの瞳の猫娘である世月がそばにいて、その後ろからよく変質者と間違えられる髪もひげもぼさぼさで眼鏡、薄汚れた白衣がトレードマークの鱗火が腕を組んで見下ろしている。
 勝手に遊びに行ってしまう二人に、うたた寝をしてしまったことをツッコミはされたくないが、なんとなくそんな雰囲気ではなさそうだ。
「…あのぉ。」
 不審がる夜斗に世月は鞄から鏡を取り出すと渡した。
 そして頭を指さす。
 なんだろうと思って渡された鏡を手にしてのぞき込んだ。
 上目を使うように頭の方を見る。
 え?
 鏡に映ったものに驚く。そろそろと手を伸ばしてそれに触った。
 感触はある触られた方も触った方も。
「えええええ~っっうそだーっっ。」
 勢いよく立ち上がると夜斗は仮眠室に使っている隣の部屋へと入っていった。
 簡易ベッドとロッカーと全身が映る鏡があるからだ。
 悲鳴のような驚きの言葉を聞いて鱗火と世月は顔を見合わせた。覗くと鏡の前でふるふると震えている夜斗。
 夜斗は犬との半妖のため、普段から三角の耳がついているのだが、今は長い兎の耳。茶色犬種のため毛色は茶。
 うそうそと言いながら耳を触って引っ張っている。
 はっとして体をひねりお尻を見る。
 いつもならふさっとしたしっぽがあるのに、今あるのは丸いしっぽ。
「ぼっぼっぼ…うっう…うっう。」
「夜斗苦しいの?」
「違いますっ。なんで僕、兎なんですかーっ。」
「しらなーい。」
 そんなの聞かれたって知るわけがない。
「夜斗変身できるの?」
「そんな能力持ってませんよっ。」
 夜斗は半分妖怪だが、能力を引き継いだわけではない。
 美月と出会った時も引き取られ検査を受けたが何も持っていないことがわかっている。
 武術は習っているからであって、能力でもなんでもない。
 なんで、なんでと納得できない夜斗は鏡に映っている姿に戸惑っている。
 耳を何度もさわりしっぽも確認する。
 だがふっと何かに感じて動きが止まった。
 突然、服の上からぱたぱたと体のラインを触りだしたのだ。シャツのボタンを3つはずし、上からのぞき込む。
 目で確認し、動きが止まった。
 ぱっとこっちを向いた夜斗が呆然として言った。
「女の子になってる…。」
 そして再度服の中へと視線を移した。
 さすがの世月もそれは「へ?」と間抜けな声で返事をするしかなかった。
「ねー夜斗ぉ。もしかしてこれ飲んじゃった?」
 鱗火の手には半分に減ったペットボトル。
 炭酸飲料だと思って飲んだと、何度も縦に頷いて答える。
「飲んじゃったんだ…。」
「それ…それって何なんです。」
「何って実験中のもの。ちゃんとここに書いてあるでしょ?」
 ラベルの上には実験中、鱗火とマジックで書いてある。
 誰かの飲み物だと思い込んでしまった。ちゃんと実験中と書いてあるのに。
 僕のせいじゃないよねと顔に書いてあるが、そんなものここに入れておくなと言いたい。
 でも勘違いして飲んじゃったのは夜斗だから文句言えない。ここは我慢して聞いてみた。
「その中身何です?」
「変身できる薬かな。」
「変身?」
「そう変身。だから兎になって女の子になったでしょ?」
 はぁと返事をした。
「でも変だなぁ」
 そう言って鱗火はキャップを開けた。中身をのぞき込む。
「僕も世月も飲んだけど何でもなかったんだよ。」
 鱗火はたまに自分で人体実験をする。そして世月もおもしろがって参加する。
 夜斗にも勧めてくるが、美月の雷で大抵はそれまで。
「僕が飲んだのは昨日。夜斗が飲んだのはその後。
 何が原因かな?僕も世月も人の血は混じってないからかな?夜斗が半妖だから?」
「えっとそれ飲んですごく眠くなりました。」
「眠くなる作用もないんだけどなぁ…。」
 薬がうまくいかなかった悔しさなのか、それとも調べるためなのか鱗火は残っている液体を飲み込んだ。
 世月もーってねだったが、鱗火のおやつは?の言葉に視線は夜斗へと注がれる。
 夜斗はおやつの存在を思い出しシャツのボタンを閉めようとしたが、鱗火が近寄ってきてシャツに指をひっかけると手前に引いた。
 思春期を過ぎた少女のような胸のふくらみがそこにあった。
 こっちは?と股間へと手を伸ばす。
 上と下と確認され、夜斗は「きゃああ」と悲鳴をあげて体をねじり胸の前で腕を交差させ、口をぱくぱくして顔を真っ赤にした。
「なななななな。」
「変身ってそっちも変身かぁ。」
 にやりと鱗火が微笑む。
「ぼぼぼぼぼ。」
「僕自分の研究室行ってくるね。」
 はーいと世月が見送った。

 以下つづく
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